クロス職人の仕事は、きついのか。
結論からお伝えします。クロス職人のきつさは、1つではなく3つに分かれます。
1つ目は、天井を見上げて腕を上げ続ける、重い材料を運ぶといった仕事そのもののきつさです。
2つ目は、「見て覚えろ」と言われて何年も下積みが続く教わり方のきつさです。
3つ目は、単価が安い、仕事が途切れるといった働き方と収入のきつさです。
1つ目は慣れと道具である程度は軽くなりますが、この仕事を選ぶ以上は付き合っていくものです。2つ目と3つ目は、どこで学び、どう仕事を受けるかによって大きく変わります。
「クロス屋はやめとけ」という言葉を見て迷っているなら、この記事で、きつさの中身を1つずつ確かめてみてください。自分が耐えられないのはどのきつさなのかが分かれば、選ぶ道もはっきりします。
【目次】
クロス職人の仕事については、「きつい」「やめとけ」「なくなる」といった声を見聞きすることがあります。
その言葉を見て、こんなふうに感じていないでしょうか。
手に職をつけたいけれど、体力が続くか不安
職人の世界は怒鳴られながら覚えるものだと聞いた
何年も下積みをして、その間の生活は大丈夫なのか
せっかく覚えても、仕事がなかったらどうしよう
どれも、もっともな不安です。
ただ、ネットに並ぶ「きつい」という声は、誰が、どんな立場で言っているのかがまちまちです。
長年、元請けの下で安い単価の仕事を受けてきた職人の声もあれば、見習いの時期に辞めた人の声もあります。求人を出している会社が、「うちは大丈夫」と言うために書いている記事もあります。
同じ「きつい」でも、中身はばらばらです。
「何がきついのか」を分けて考えると、自分に合うかどうかが判断しやすくなります。
クロス職人のきつさを3つに整理すると、次のようになります。
仕事そのもの
中身:天井や高い所の作業、材料や機械の運搬、夏の暑さ、細かい手作業
変えられるか:慣れと道具である程度は軽くなるが、なくなりはしない
教わり方
中身:見て覚えろ、下積みが何年も続く、教える人の機嫌しだい
変えられるか:学ぶ場所を選べば大きく変わる
働き方と収入
中身:単価の安さ、閑散期、取引先への依存
変えられるか:仕事の受け方で大きく変わる
1つ目のきつさに耐えられるかどうかは、実際に現場に立ってみるのがいちばん確かです。
2つ目と3つ目は、業界の慣習や仕事の受け方から来ています。
ネットで「きつい」と言われる理由の多くは、実はこの2つ目と3つ目です。
次の章でまず仕事の流れを確かめてから、きつさを1つずつ見ていきます。
まずは、クロス職人がどんな作業をしているのかを確かめておきます。
壁紙を貼り替える現場では、おおむね次の順番で作業が進みます。
準備・養生
何をするか:床や家具を傷つけないよう覆う
きつさの中身:地味だが手を抜けない
器具の取り外し
何をするか:コンセントのカバーや照明を外す
きつさの中身:細かい部品を扱う
古い壁紙の剥がし
何をするか:古い壁紙をはがす
きつさの中身:一日中続くこともある
下地の処理(パテ)
何をするか:壁の凹凸をパテで平らにする
きつさの中身:力加減が難しい。仕上がりを左右する
採寸・糊付け
何をするか:寸法を測り、糊付け機で壁紙に糊をつける
きつさの中身:重い機械と材料を扱う
貼り
何をするか:壁、天井の順に壁紙を貼る
きつさの中身:天井は腕を上げ続ける
仕上げ
何をするか:継ぎ目を切りそろえ、器具を戻し、掃除する
きつさの中身:細かい刃物の作業
一見、「貼る」だけの仕事に見えます。
でも実際は、貼る前の準備と下地の処理が、仕上がりの大半を決めます。貼る作業そのものより、準備に時間がかかる日もよくあります。
ここを知らずに始めると、「思っていた仕事と違う」と感じやすくなります。
仕事そのもののきつさは、大きく4つあります。
クロス職人のきつさとして、多くの人が挙げるのが天井です。
天井の壁紙は、上を見上げ、腕を上げたままで、長い壁紙を押さえながら貼っていきます。
Kitano壁紙スクールがサイトで公開している受講風景でも、天井に初めて挑戦した受講生が、こう書いています。
「天井を貼るのが、こんなに大変だとは思いませんでした……。もう腕がパンパンです。」
引越し業を営む会社から受講した方の、7日目の言葉です。
同じく受講した鳶職の会社の社員さんも、天井の作業についてこう振り返っています。
「天井の作業は、常に上を見上げ続け、腕を上げたままの状態で行うので、壁とは比較にならないほど体力を使い、正直疲れました。」
ただ、鳶職の社員さんは、講習の13日目に洗面所の天井を一人で貼り終えています。
天井のきつさは、体の使い方を覚えると軽くなる部分があります。力に頼らず、姿勢と壁紙の扱い方で貼る。そのコツを覚えるまでが、いちばんつらい時期です。
天井クロスの貼り方に関して詳しく解説した記事はこちらです。
「イナバウアー!?」思わず笑顔がこぼれる現場から。未経験者が15日で天井クロスを貼れるようになる理由
クロス職人は、材料と道具を自分で現場に運びます。
壁紙に糊をつける糊付け機は、30キロほどの重さがある機械です。糊の原液も重く、Kitano壁紙スクールの講師は受講風景の中で「糊の原液は18kgもある上に持ちづらい形状なので、最初は皆さん苦労されますよ。」と話しています。
エレベーターのない建物では、これを階段で運ぶこともあります。
ここは体力が要る部分です。一方で、運び方や置き場所の段取りを覚えると、同じ量でも疲れ方は変わってきます。
糊付け機を使う理由に関して詳しく解説した記事はこちらです。
糊付き壁紙や糊付代行サービスとの費用を徹底比較|クロス屋が30kgの糊付機を運ぶ理由とは?
貼り替えの現場は、空き部屋が多くなります。
退去したあとの賃貸住宅では、エアコンが外されていたり、電気が止まっていたりすることもあります。夏の室内は暑く、冬は冷え込みます。
暑さ対策には、電動ファンの付いた作業着(空調服)などの道具があります。Kitano壁紙スクールでは、講習中に空調服を無料で貸し出しています。
冬は防寒着や手袋など、寒さへの備えも欠かせません。
暑さや寒さそのものは変えられなくても、道具で軽くできる部分は遠慮せずに使ってください。
壁紙の仕事は、力仕事であると同時に、細かい手作業の連続です。
パテで壁を平らにする、カッターで継ぎ目を切りそろえる、コンセントの穴をくり抜く。どれも、ずれるとそのまま仕上がりに出ます。
貼り替えた部屋には、あとで人が住みます。継ぎ目が目立つ、浮いてくるといった不具合は、住む人の目に毎日触れます。
細かい作業のきつさは、道具で軽くなる部分があります。引越し業から受講した方は、3日目にこう書いています。
「カッターの刃を変えたら、格段に切りやすくなりました。」
この「仕上がりが目に見える」ことは、きつさであると同時に、この仕事のやりがいでもあります。自分が貼った部屋を見て、住む人が喜ぶ。そこに手応えを感じられる人は、細かい作業も苦になりにくいものです。
2つ目は、教わり方のきつさです。
職人の世界には、昔から「見て覚えろ」「技は盗むもの」という考え方があります。
見習いとして職人の下に入ると、最初は材料運びや片付け、剥がしばかりが続き、なかなか壁紙を貼らせてもらえないことがあります。
教える職人も、自分の仕事で手いっぱいです。忙しい時期は教える余裕がなく、「いつ教えてもらえるのか分からない」まま月日が過ぎていきます。
Kitano壁紙スクールの代表は、コラムの中でこの状況を次のように書いています。
「期待に胸を膨らませていた若者の目が、数日で濁り、絶望に変わり、去っていく。」
「何年続くか分からない下積み」と「教えてもらえない不安」は、仕事そのものとは別の種類のきつさです。代表はこのコラムで、こうした教わり方が若い人を業界から遠ざけてきたと指摘しています。
教わり方の問題には、業界の人の構成も関わっています。
国土交通省の資料「建設業を取り巻く状況等について」によると、令和7年の建設業の就業者のうち、55歳以上は36.6%、29歳以下は11.9%です。
現場を支えているのは、ベテランの職人です。自分の仕事をこなしながら若い人を育てるため、忙しい時期は育成まで手が回らないこともあります。
教わり方は、自分で選べます。
会社に入って見習いとして学ぶ方法のほかに、職業訓練校で基礎から学ぶ方法や、民間のスクールで期間を決めて集中して学ぶ方法もあります。
たとえばKitano壁紙スクールでは、事前に動画で知識や手順を学んでおき、現場では手を動かすことに時間を使う形をとっています。講師が複数いて、一人のやり方に縛られずに学べるのも特徴です。
スクールのサイトでは、天井の講習の様子を紹介する記事の冒頭で、「クロス貼りは、見て覚えろ」という言葉を挙げたうえで、こう書いています。
「かつては当たり前だったそんな職人の修行スタイルですが、Kitano壁紙スクールではまったく異なるアプローチをとっています。」
どこで学ぶかによって、同じ仕事でも「きつい」と感じる中身は大きく変わります。
下積みの考え方に関して詳しく解説した記事はこちらです。
【覚悟の提言】「石の上にも三年」が建設業を殺す。若者の目を輝かせ続ける「職人版R&Dプラットフォーム」の正体
3つ目は、働き方と収入のきつさです。
クロス職人の収入は、仕事の受け方によって仕組みが変わります。
会社に雇われる
収入の決まり方:月給(日給月給の場合もある)
特徴:収入は安定しやすいが、上がり方はゆるやか
常用(日当で働く)
収入の決まり方:一人親方などとして、現場ごとに1日いくらで働く
特徴:働いた日数で決まる
手間請け
収入の決まり方:貼った面積などに応じて手間賃を受け取る
特徴:速く正確に貼れるほど収入が増える
直接受注
収入の決まり方:お客様から工事を丸ごと受ける
特徴:材料の手配や見積もりも自分で行う
手間請けでは、1日に貼れる量が収入に直結します。
慣れないうちは貼るのが遅く、同じ時間働いても手取りが少なくなります。ここが「稼げない」「きつい」と言われる理由の1つです。
逆に言えば、技術が上がるほど収入も上がりやすい仕組みでもあります。
手間請けで働くなら、慣れて速く貼れるようになるまでの期間の生活費を、先に用意しておくと安心です。
クロス職人の日当について、国が出している目安があります。
国土交通省が公共工事の費用を見積もるために毎年定めている「公共工事設計労務単価」です。この中に「内装工」という職種があります。
令和8年3月から適用された単価では、内装工は次のとおりです。
東京都:33,400円
愛知県:31,300円
福岡県:30,600円
大阪府:28,700円
北海道:27,600円
この単価は、所定の労働時間内の8時間あたりの金額で、残業などの割増賃金は含まれていません。また、公共工事の費用の見積もりに使うための数字で、民間の現場で実際に支払われる金額とは別物です。
また、この改定では、内装工に限らない全国の全職種の平均が25,834円となり、前年度より4.5%上がりました。14年連続の引き上げです。全職種の平均なので内装工の値とは比べられませんが、職人の手間にかかる値段が全体として上がっている流れは読み取れます。
もう1つのきつさは、仕事の波です。
貼り替えの仕事は、時期によって量に波があります。いつが忙しいかは、地域や取引先によって違います。
さらに、1つの元請けからしか仕事を受けていないと、その元請けの仕事が減ったときに収入が一気に減ります。
この不安は、独立した職人が特に強く感じるところです。どこから仕事が来るのかを決めておくことが、働き方のきつさを軽くするいちばんの手立てです。
将来の独立を考えているなら、技術を身につける前から「独立したあと、どこから仕事をもらうか」を考えておいてください。
独立したばかりの職人がつまずきやすいのは、技術よりも仕事の確保です。腕があっても、仕事を出してくれる先がなければ収入は立ちません。
仕事の出どころには、次のような形があります。
修業した会社から、協力業者として仕事をもらい続ける
付き合いのある元請けから、継続して仕事を受ける
お客様から直接工事を受ける
職人と仕事をつなぐサービスを使う
Kitano壁紙スクールの独立開業サポートでは、研修の修了後にパートナー契約を結び、実際の現場案件を担当する形をとっています。スクールの案内では、自分で営業しなくても仕事を受けられること(「営業なし」)と、加盟店が本部に払うような継続的な支払いがないこと(「ロイヤリティ0円」)を掲げています。単価の決め方、ほかの仕事と掛け持ちできるか、契約の期間や途中でやめるときの条件といった契約の条件は、申し込みの前の説明で確かめてください。
ここまでの内容を、きつさごとに「どう軽くできるか」でまとめます。
仕事そのもの
具体的な中身:天井で腕が上がらない
軽くする方法:姿勢と壁紙の扱い方を、現場で繰り返し練習する
仕事そのもの
具体的な中身:重い材料と機械
軽くする方法:運び方と置き場所の段取りを覚える
仕事そのもの
具体的な中身:夏の暑さ・冬の寒さ
軽くする方法:空調服や防寒具などの道具を使う
仕事そのもの
具体的な中身:細かい作業
軽くする方法:道具の選び方を覚える。カッターの刃をこまめに替える
教わり方
具体的な中身:見て覚えろ
軽くする方法:教わり方が決まっている場所で学ぶ
教わり方
具体的な中身:下積みの期間が読めない
軽くする方法:期間を決めて集中して学ぶ
働き方と収入
具体的な中身:慣れるまで稼げない
軽くする方法:慣れるまでの期間の生活費を先に用意する
働き方と収入
具体的な中身:仕事が途切れる
軽くする方法:独立直後は継続して仕事を出す先を確保し、その後、取引先を少しずつ広げる
向いているかどうかは、次の特徴で確かめられます。
細かい作業に根気よく向き合える人
パテの平らさ、継ぎ目のまっすぐさ。ミリ単位の差を気にできる人は伸びます。
段取りを考えるのが好きな人
どの順番で貼れば材料のロスが少ないか。受講した鳶職の社員さんは、採寸しながら材料の使い方を考える段取りを「まるでパズルのよう」と表現しています。
仕上がりを見て喜べる人
貼り替えた部屋がきれいになったとき、手応えを感じられる人は、この仕事を長く続けやすくなります。
失敗を次に活かせる人
最初はだれでも失敗します。失敗して「なぜこうなったのか」を考えられる人が上達します。
高い所や上を向く作業が極端に苦手な人
天井の作業は避けて通れません。脚立の上での作業に強い恐怖を感じるなら、始める前に一度体験してみてください。
細かい作業がどうしても苦痛な人
壁紙の仕事の大半は、細かい手作業です。大まかな作業のほうが好きな人には、つらく感じるかもしれません。
一人で黙々と作業するのがつらい人
現場によっては、一人で一部屋を仕上げる時間が長く続きます。人と話しながら働きたい人には、物足りなく感じることがあります。
年齢と性別そのものより、ここまでに挙げた向き不向きのほうが大きく影響します。
Kitano壁紙スクールのよくある質問では、「〇歳でも受講できますか?」という問いに「年齢制限はございません。やる気と努力次第です。」と答えています。
また、「背が小さい女性なのですが、貼れるでしょうか?」という問いには「貼れます。」と答えています。スクールには女性の講師もいて、女性の受講生も講習を受けています。
クロス職人として働くのに、必ず持っていなければならない資格はありません。
ただ、腕を示す手段として、国家検定の「技能検定」があります。
クロス(壁紙)を貼る技術に当たるのは、「表装」という職種の中の「壁装作業」です。合格すると「表装技能士」を名乗れます。
名前が似ている「内装仕上げ施工」という職種もありますが、こちらは床の仕上げやボードの仕上げなどが中心で、壁紙の作業区分はありません。間違えやすいので注意してください。
技能検定を実施している中央職業能力開発協会の案内では、受検に必要な実務経験が等級ごとに決まっています。
2級:2年以上
1級:7年以上
職業訓練を受けた経歴や学歴があれば、必要な年数が短くなる場合があります。
資格は、経験を積んだあとに腕を証明する手段と考えてください。
未経験からクロス職人を目指す方法は、大きく3つあります。
会社に入って見習い
中身:内装会社に就職し、現場で先輩から学ぶ
向いている人:給料をもらいながら学びたい人
気をつけること:教わり方が会社と先輩しだい。期間が読みにくい
公的な職業訓練
中身:職業訓練校の内装の課程で学ぶ
向いている人:時間をかけて基礎から学びたい人
気をつけること:課程の有無や時期が地域によって違う
民間のスクール
中身:期間を決めて、集中して学ぶ
向いている人:早く現場に出たい人、独立を考える人
気をつけること:受講料がかかる。修了後も場数が必要
正解は人によって違います。
2つ目のきつさ(教わり方)をどこまで減らしたいか、3つ目のきつさ(働き方と収入)にどう備えるかで選んでください。
Kitano壁紙スクールで学ぶ場合
コースは次のとおりです。
パーフェクトコース
一人で施工を完結できる基本の習得。床の施工体験を含む
エキスパートコース
柄合わせやソフト巾木まで、現場で稼げる応用力
独立開業サポート
研修に加え、開業の支援と、修了後に実際の現場案件を担当するパートナー契約
各コースの詳細は、こちらをご覧ください。
よくある質問によると、受講者の内訳は、現場経験があった方が55%、なかった方が45%です。また、受講者全体のうち最後まで修了した方の割合は93%と紹介されています。
道具一式はスクールで用意しているので、手ぶらで参加できます。仕事が休みの日に合わせた受講や、曜日を決めた受講も相談できます。
3つ目のきつさ(仕事が途切れる不安)への備え方は、前の章の「独立するなら、仕事の出どころを先に決める」で紹介したとおりです。
未経験の人が15日間でどこまでできるようになるのかを、実際の記録で見てみます。
Kitano壁紙スクールがサイトで公開している受講風景から、鳶職の会社から受講した社員さんの15日間を、日ごとにまとめました。講師と受講生のやり取りが日ごとに記録されているので、きつさと上達の両方が見えます。
1日目
現場:アパート
その日の作業:道具の説明、器具の取り外し、古い壁紙の剥がし
受講生の様子:見るもの触るものすべてが初めて
2日目
現場:同上
その日の作業:剥がしの続き、壁の凹凸を平らにするパテ打ち
受講生の様子:出来の良し悪しが自分では分からない
3日目
現場:同上
その日の作業:下地の調整、和室の壁紙を初めて貼る
受講生の様子:カッターの切り口に苦戦
4日目
現場:同上
その日の作業:寸法取り、糊付け機での糊付け、洋室を貼る
受講生の様子:材料のロスを減らす段取りに頭を使う
5日目
現場:別のアパート
その日の作業:洋室の壁を全面仕上げる
受講生の様子:一人で一部屋の壁を貼り切る。速さが気になり始める
6日目
現場:マンション
その日の作業:天井や梁、クローゼット内
受講生の様子:天井は講師の支えを受けながら形にする
7日目
現場:同上
その日の作業:細かい切り回しが必要な箇所
受講生の様子:入隅や寸法、コンセント穴などで失敗が続く
8日目
現場:同上
その日の作業:糊づくりから貼り込みまでを一通り
受講生の様子:準備から仕上げまでの流れがつながる
9日目
現場:同上
その日の作業:仕上げ、フロアタイルの施工も体験
受講生の様子:床にも興味を広げる
10日目
現場:(記載なし)
その日の作業:講師の作業を観察、継ぎ目の重ね切り
受講生の様子:講師ごとにやり方が違うことを知る
11日目
現場:戸建て住宅
その日の作業:天井と壁の下地処理(粉パテ)
受講生の様子:パテを平らに塗る難しさを再び感じる
12日目
現場:同上
その日の作業:天井の壁紙を貼る
受講生の様子:腕を上げ続けて体力を使う
13日目
現場:同上
その日の作業:洗面所の天井と壁
受講生の様子:天井を一人で貼り終える
14日目
現場:同上
その日の作業:トイレとクローゼット
受講生の様子:複雑な箇所も判断できるようになり、成長を実感
15日目
現場:同上
その日の作業:6畳一間を段取りから一人で仕上げる
受講生の様子:期限内に完了。不安が自信に変わる
この15日間から分かることが3つあります。
1つ目。きつい時期は、はっきりある
2日目のパテの難しさ、7日目の失敗の連続、12日目の天井。受講生は、そのときどきの戸惑いや疲れを正直に書いています。きつさがゼロになる近道はありません。
2つ目。現場が変わるたびに、新しいきつさに出会う
アパート、マンション、戸建てと現場が変わるたびに、下地の状態や部屋の形が変わります。同じ作業でも、場所が変われば難しさも変わります。
3つ目。きつさの山を越えると、できることが一段増える
7日目にたくさん失敗したあと、8日目には準備から仕上げまでを一通りこなしています。12日目に天井で苦戦したあと、13日目には一人で天井を貼り終えています。
講師は7日目の失敗について、受講生にこう声をかけています。
「それでいいんです!失敗して初めて「なぜこうなるのか」という理屈が分かり、技術が身に付きます。」
きつさそのものより、きつい時期に何を学べるかが、上達の速さを決めていきます。
実際に働き始めてから「きつい」と感じたときは、そのきつさが3つのどれに当たるかを確かめてみてください。
仕事そのものがきついなら
始めたばかりの時期は、誰でも体がついていくのに時間がかかります。数か月たっても変わらないか、少しずつ楽になっているかを見てください。道具や段取りで軽くなる部分がないかも、先輩や講師に相談する価値があります。
教わり方がきついなら
学ぶ場所を変えることで解決する場合があります。仕事そのものが嫌になる前に、教わり方を変える選択肢を考えてください。
働き方と収入がきついなら
仕事の受け方を見直す時期かもしれません。1つの取引先に頼っていないか、単価の条件を確かめているかを振り返ってみてください。
ここまで、クロス職人のきつさと軽くする方法をお伝えしてきました。それでも、次に当てはまる場合は、別の仕事を考えたほうがよいかもしれません。
持病や体の不調で、脚立の上や上を向く作業を止められている場合
無理をして体を壊しては元も子もありません。仕事そのもののきつさは、慣れても一定は残ります。
すぐに今と同じ収入が必要な場合
どの学び方を選んでも、技術が身につくまでの期間があります。その間の生活費の見通しが立たないまま始めると、焦りから続かなくなります。
「楽に稼げる仕事」を探している場合
独立して手間請けや直接受注で働く場合、クロス職人は技術が上がるほど収入も上がりやすい仕事です。裏を返せば、技術を磨く手間をかけられる人に向いた仕事です。
反対に、「きつさの中身が分かったうえで、それでも手に職をつけたい」と思えるなら、クロス職人は長く続けられる仕事です。
細かい作業に根気よく向き合える人、段取りを考えるのが好きな人、仕上がりを見て喜べる人、失敗を次に活かせる人が向いています。
年齢や性別より、こうした性格や好みのほうが大きく影響します。
働き方によって大きく変わるので、一つの金額では言えません。
会社に雇われていれば月給、日当で働けば働いた日数、手間請けなら貼った量で決まります。
公的な目安として、国土交通省の公共工事設計労務単価(令和8年3月から適用)では、内装工の8時間あたりの単価は東京都で33,400円です。ただし、これは公共工事の見積もりに使う数字で、民間の現場で支払われる金額とは別物です。
仕事の受け方しだいです。
元請けから安い単価で受けるだけでは、手元に残るお金は限られます。お客様から直接受ける、壁紙に加えて床などの工事もこなすといった形で、受けられる仕事の幅を広げると収入は上がりやすくなります。
「しんどい職業」の順位を公的に決めた統計は見当たりません。
どの仕事にも、その仕事ならではのきつさがあります。順位より、自分が耐えられないのはどのきつさなのかを確かめるほうが役に立ちます。
決まった年齢の上限はなく、体と相談しながら続けられる仕事です。
天井の作業など体への負担はありますが、体の使い方や段取りを身につけることで、長く続けている職人も多い仕事です。
なれます。
Kitano壁紙スクールのよくある質問では、「背が小さい女性なのですが、貼れるでしょうか?」という問いに「貼れます。」と答えています。女性の講師もいて、女性の受講生も講習を受けています。
建物がある限り、壁紙の貼り替えの依頼は生まれ続けます。
Kitano壁紙スクールの代表はコラムの中で、現場ごとに異なる壁の歪みや季節によるクロスの伸縮に合わせた仕上げは人間にしかできない、と書いています。
また、建設業では55歳以上の就業者が36.6%を占めており(令和7年)、若い担い手が求められている状況です。
見習い期間の長さを示す公的な統計は見当たりません。会社や教える職人によって大きく変わります。
Kitano壁紙スクールのコラムでは、現場での下積みなら3年はかかると言われる技術の基礎を、15日間の講習で一通り経験する取り組みを紹介しています。講習のあとも、現場で場数を踏んで腕を上げていきます。
どちらの道を選ぶにしても、「何年」より「何ができるようになったか」で自分の上達を確かめるのが確実です。
Kitano壁紙スクールのよくある質問によると、講習中の休憩は、10時から15分、12時から60分、15時から15分が目安です(受講内容によって前後します)。
受講場所での飲食や外出もできます。喫煙は禁止です。
なります。ただし、講習を終えた日から何でもこなせる人はまれです。
Kitano壁紙スクールの受講風景では、介護士から転身を目指した方が、15日間の講習の最後に修了試験に合格し、卒業を待たずに初仕事の依頼が入ったと紹介されています。また、会社から送り出された鳶職の社員さんは、講習の最終日に6畳一間の壁紙を段取りから一人で仕上げました。
修了後は、実際の現場で場数を踏むほど上達が早くなります。
クロス職人のきつさは、次の3つに分かれます。
仕事そのもの:天井、重い材料、暑さ、細かい作業
教わり方:見て覚えろ、読めない下積み
働き方と収入:慣れるまでの収入、仕事の波、取引先への依存
1つ目は、この仕事を選ぶ以上、付き合っていくものです。2つ目と3つ目は、どこで学び、どう仕事を受けるかで大きく変わります。
「やめとけ」という声を見て迷っているなら、まずは自分が耐えられないのはどのきつさなのかを考えてみてください。
そして、この仕事が自分に合うかどうかを考える材料は、無料でも手に入ります。
Kitano壁紙スクールでは、無料で試せる2つの入り口を用意しています。
無料「LINE職人テスト」
ゲームのような感覚で取り組めるテストです。公開していない動画も見られます。
無料「個別キャリア診断」
ヒムロ最高講師に、15分間相談できます。
詳しくは、Kitano壁紙スクールのホームページをご覧ください。