職人として、会社に雇われずに自分で仕事を受けたい。けれど、個人事業主と一人親方は何が違うのか、届出や税金、保険は何をそろえればよいのかが分からない。
職人が個人事業主として働くときに迷うのは、腕のことより、手続きとお金のことかもしれません。
【目次】
個人事業主として働く職人が、最初にそろえておきたいことは次の3つです。
働き方の違いを知る:個人事業主、一人親方、会社員の職人の違いと、名ばかりの一人親方にならないための考え方
届出と保険をそろえる:開業の届出、青色申告の申請、年金と健康保険の切り替え、労災保険の特別加入
お金の流れをつかむ:経費になるもの、確定申告の流れ、納税の時期、消費税とインボイス
どれも、仕事を受け始めてからでは慌てやすいものです。独立の前に、1つずつ確かめておきましょう。
職人の働き方を表す言葉は、いくつもあります。まず、それぞれの意味を整理しておきます。
会社に雇われて働く職人です。会社から給料を受け取り、会社を通して健康保険や厚生年金、労災保険に入ります。
仕事は会社が取ってきて、職人は会社の指示で現場に入ります。税金も、会社が給料から差し引いて納めます。
会社を立てずに、個人で事業をしている人のことです。職人に限らず、さまざまな仕事の人がいます。
個人事業主の職人は、自分の名前で仕事を受け、売上から経費を差し引いた分が自分の所得になります。税金の申告も、自分で行います。
一人親方は、主に建設の仕事で、人を雇わずに一人で工事を受ける職人を指す言葉です。
労災保険の特別加入のしおり(厚生労働省、令和8年1月版)には、特別加入できる人が挙げられています。その一つが、「労働者を使用しないで」事業を行うことを常態とする一人親方その他の自営業者です。
一人親方の多くは個人事業主です。個人事業主のうち、人を雇わずに建設の仕事を受ける人を一人親方と呼ぶ、と考えると分かりやすくなります。
フリーランスは、法律の言葉ではありませんが、会社に雇われずに仕事を受ける人を広く指します。
令和6年11月1日に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法では、業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないものを「特定受託事業者」と呼びます。
内閣官房などが出しているこの法律のQ&Aでは、特定受託事業者の例として、建設会社から住宅建設の業務の一部を受託する一人親方が挙げられています。人を雇わずに工事を受ける職人も、この法律で守られる側に入ることがあります。
同じ現場で同じ壁紙を貼っていても、会社員と個人事業主では、仕事のまわりのことが大きく変わります。
収入の決まり方:会社員は給料、個人事業主は売上から経費を差し引いた分が所得になる
仕事の取り方:会社員は会社が仕事を取ってくる。個人事業主は、自分で取引先を見つけ、工事を受ける
道具と材料:会社員は会社が用意することが多い。個人事業主は、道具や作業車を自分でそろえるのが基本
税金:会社員は会社が給料から差し引いて納める。個人事業主は、自分で確定申告をして納める
保険と年金:会社員は会社を通して入る。個人事業主は、国民年金や国民健康保険に自分で入り、労災保険は特別加入を考える
働く時間:会社員は会社の決まりに従う。個人事業主は、受けた工事の期限に合わせて自分で決める
自分で決められることが増える一方で、会社がしてくれていたことを自分で受け持つことになります。どちらが合うかは、腕だけでなく、手続きやお金の管理を受け持てるかでも変わります。
職人の仕事には、さまざまな業種があります。建設の分野では、大工、内装、塗装、左官、とび、電気、設備などが代表的です。
クロスの貼り替えは、一部屋を一人で仕上げられることが多い仕事です。そのため、一人親方として働く道を選びやすい仕事の1つです。
電気の工事は、電気工事士法で資格が求められます。業種によっては、個人事業主として働く前に、資格を取ることから始める必要があります。
壁紙の施工そのものに、必ず取らなければならない資格はありません。腕を示す目安として、国家検定の技能検定「表装(壁装作業)」があります。
一人親方として契約していても、働き方の実態が会社員と同じなら、法律上は「労働者」と判断されることがあります。
国土交通省の関東地方整備局が出している一人親方対策の資料では、次のように書かれています。
一人親方の働き方の実態が「労働者」と同様であるにもかかわらず、労働関係法令の規制を逃れる目的で一人親方として請負契約を結ぶことはいわゆる偽装請負に該当する可能性があります。
同じ資料には、働き方が労働者と同様と判断された場合のことも書かれています。その人は労働者として扱われ、元請の事業場の労災保険の適用を受けることになります。
厚生労働省は、労働基準法の「労働者」に当たるかどうかを、次の2つの基準で判断するとしています。
労働が他人の指揮監督下において行われているかどうか
報酬が、指揮監督下における労働の対価として支払われているかどうか
この2つを合わせて「使用従属性」と呼びます。契約の形式や名称にかかわらず、契約の内容や働き方、報酬などから、一つひとつの事案ごとに判断されます。
具体的な判断の基準は、昭和60年の労働基準法研究会の報告で整理されています。主に見られるのは、次のような点です。
仕事を断れるか:仕事の依頼や指示を断る自由があるか
仕事の進め方を指示されているか:作業の進め方について、細かな指揮監督を受けていないか
時間と場所に縛られているか:働く時間や場所を、相手に決められていないか
ほかの人に代わってもらえるか:自分の判断で、ほかの職人に代わってもらったり、手伝いを頼んだりできるか
報酬が働いた時間の対価になっていないか:報酬が、仕事の結果より働いた時間で決まっていないか
このほかに、自分で道具をそろえているかといった事業者としての性格や、1社だけの仕事をしているかといった専属性も、判断を補う要素になります。
建設業の手間請けで働く人については、平成8年に、より具体的な判断の基準も取りまとめられています。
一人親方として仕事を受けるときは、契約の前に、次の点を確かめておきましょう。
工事の内容と、仕上げる期限が決まっているか
作業の進め方を、自分で決められるか
報酬が、工事の内容に対して決まっているか
けがをしたときの保険を、誰が用意するのか
厚生労働省は、フリーランス向けに「働き方の自己診断チェックリスト」も公開しています。自分の働き方が気になるときは、労働基準監督署の相談窓口に相談することもできます。
人を雇わずに仕事を受ける職人は、フリーランス・事業者間取引適正化等法で守られる側に入ることがあります。この法律には、仕事を頼む側が守る決まりがあります。
この法律の第3条では、仕事を頼む事業者に、取引の条件を示すよう求めています。仕事を頼んだら直ちに、仕事の内容、報酬の額、支払期日などを、書面または電子メールなどの方法で示さなければなりません。
口約束のまま現場に入ると、あとで「そんな工事は頼んでいない」「報酬はもっと安いはずだ」と食い違うことがあります。仕事を受けるときは、条件を書面などで残してもらいましょう。
同じ法律の第4条は、従業員を使う事業者が、人を雇わない事業者に仕事を頼んだ場合の決まりです。報酬の支払期日は、仕事の成果を受け取った日から60日以内の、できる限り短い期間で定めます。
取引先によって、締め日や支払日は違います。仕事を受ける前に、請求の締め日と入金の日を確かめておくと、お金の見通しが立てやすくなります。
ここからは、個人事業主として働き始めるときの手続きを、順番に見ていきます。
個人で事業を始めるときは、税務署に開業の届出書を出します。
所得税法の第229条では、新たに事業所得を生ずべき事業を開始した場合の届出を定めています。その年分の確定申告期限までに、税務署長に届出書を出します。以前は「事業を始めてから1か月以内」でしたが、2026年1月1日から今の決まりになりました。
取引先によっては、開業届の写しを求められることがあります。早めに出しておくと、仕事を受けるときに慌てずに済みます。
確定申告には、青色申告と白色申告があります。青色申告をするには、税務署に承認申請書を出しておく必要があります。
国税庁の案内では、青色申告承認申請書の提出期限は、原則として青色申告をしようとする年の3月15日までです。その年の1月16日以後に新たに事業を始めた場合は、事業を始めた日から2か月以内となっています。
家族に仕事を手伝ってもらい、給与を払う場合は、青色事業専従者給与に関する届出書も同じ期限で出します。
会社を辞めて個人事業主になると、厚生年金から国民年金に切り替えます。日本年金機構の案内では、退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区役所や町村役場で手続きをします。
健康保険は、住んでいる市区町村の国民健康保険に入るほか、会社の健康保険を任意継続する方法もあります。
協会けんぽの任意継続は、退職日までに被保険者の期間が継続して2か月以上あり、退職日の翌日から20日以内に手続きすることが条件です。加入できる期間は2年間です。
建設の仕事をする人が入る国民健康保険組合もあります。保険料の決め方や入れる条件は組合ごとに違うので、加入を考えるときはそれぞれの組合で確かめてください。
国民年金だけだと、会社員のときより将来の年金が少なくなることがあります。日本年金機構の案内では、国民年金の保険料に上乗せして付加保険料を納め、将来の年金を増やす仕組みも紹介されています。
個人事業主のための退職金の制度として、小規模企業共済もあります。掛金は、所得控除として所得から差し引けます。事業の経費には入りません。
会社員なら、会社を通して労災保険に入ります。一人親方として働くと、労災保険の対象から外れるのが原則です。
ただ、一人親方などが任意で加入できる「特別加入」の制度があります。特別加入のしおりでは、一人親方などでつくる特別加入団体を事業主、一人親方を労働者とみなして、労災保険を適用すると説明されています。
令和6年11月からは、フリーランスとして働く人のための「特定フリーランス事業」も特別加入の対象になりました。ただし、しおりでは、特定フリーランス事業以外の事業に当たる場合は、そちらで加入するよう書かれています。
クロスの職人のように建設の仕事をする人は、建設の事業として加入することになります。加入できる団体や手続きは、労働基準監督署や都道府県の労働局で確かめられます。
インボイス(適格請求書)を出すには、税務署に登録の申請をします。国税庁の案内では、免税事業者が登録するときは、提出した日から15日以降の日を登録希望日として書いて申請します。
インボイスの登録を受けると、消費税の課税事業者になり、消費税の申告と納税が必要になります。登録するかどうかは、取引先がインボイスを求めるかどうかも含めて考えましょう。
登録するか迷ったときに考えること
主な取引先は、インボイスを求めているか
お客様から直接受ける工事と、会社から受ける工事のどちらが多いか
消費税の申告と納税の手間を、自分で受け持てるか
負担を軽くする特例や、簡易課税を使えるか
取引先の多くが会社で、インボイスを求められることが多いなら、登録を考える場面が増えます。迷うときは、取引先に確かめたうえで、税務署や税理士に相談してから決めましょう。
個人事業主の所得は、売上から必要経費を差し引いて計算します。何が経費になるかを知っておくことが、正しい申告の第一歩です。
国税庁の案内では、必要経費は事業のためにかかった費用とされています。売上を得るために直接かかった費用や、その年に生じた販売費・一般管理費などです。
クロスの職人なら、次のようなものが経費になります。
壁紙、糊、パテなどの材料
カッター、地ベラ、なでバケ、ローラー、脚立などの道具
糊付機などの機械
作業車のガソリン代、現場の駐車場代
仕事で使う電話の料金
所得税や住民税、罰金などは、必要経費になりません。
小規模企業共済の掛金も、事業の必要経費にはなりません。ただし、所得控除として、所得から差し引くことができます。
作業車を休みの日にも使う、自宅の一部を事務所にしているなど、仕事と暮らしの両方に使うものもあります。
国税庁の通達では、こうした費用は、主な部分が仕事のために必要で、その部分を明らかに区分できる場合に、その部分を経費にできるとされています。仕事で使う割合を、走った距離や使った時間などの記録をもとに分けておきましょう。
個人事業主になったら、最初の日からお金の管理を始めましょう。年が明けてから1年分をまとめようとすると、領収書が見つからない、何に使ったか思い出せない、といったことが起きやすくなります。
仕事で使う口座とクレジットカードを、暮らしのものと分けておくと、帳簿をつけるのが楽になります。仕事の売上が入る口座と、材料や道具の支払いに使う口座を1つにまとめておくと、お金の流れが見えやすくなります。
材料や道具を買ったときの領収書、取引先に出した請求書の控えは、日付順にまとめて保存します。帳簿の記録と、これらの書類が合っていることが、正しい申告の土台になります。
帳簿は、毎日つけるのが理想ですが、難しければ毎月決まった日にまとめてつけましょう。月ごとに売上と経費を見ておくと、仕事の受け方や、使い過ぎているお金にも気づきやすくなります。
家族に材料の手配や帳簿づけ、現場の手伝いをしてもらうこともあります。家族に払うお金の扱いは、青色申告か白色申告かで変わります。
国税庁の案内では、青色申告の場合、届出をしたうえで、仕事に専ら従事する家族に払った給与のうち、仕事の内容に照らして相当な額を経費にできます。白色申告の場合は、給与を経費にできない代わりに、事業専従者控除として一定の額を差し引けます。
どちらにも、生計を一にする家族で、その年の12月31日現在で15歳以上であることが条件にあります。その年を通じて6か月を超える期間、仕事に専ら従事していることも条件です。家族に手伝ってもらうときは、条件を国税庁の案内で確かめてから決めましょう。
個人事業主は、毎年、前の年の所得を確定申告します。
1.日々の取引を帳簿に記録する
売上と経費を、日付、相手、金額、内容とともに記録します。領収書や請求書の控えは、帳簿と一緒に保存しておきます。
2.1年分を集計し、決算書をつくる
年が明けたら、1年分の売上と経費を集計します。青色申告なら青色申告決算書、白色申告なら収支内訳書をつくります。
3.確定申告書をつくり、期限までに出す
確定申告書をつくり、原則として翌年の2月16日から3月15日までに、税務署に出します。e-Tax(国税電子申告・納税システム)を使えば、家から送信することもできます。
青色申告には、白色申告にはない利点があります。
青色申告特別控除:帳簿のつけ方などの条件に応じて、所得から一定の額を差し引ける
赤字の繰り越し:事業で赤字が出た年の分を、翌年以後3年間にわたって繰り越せる
家族への給与:届出をすれば、仕事を手伝う家族に払う給与を経費にできる
控除の額がいちばん大きくなるのは、正規の簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書をつけて期限までに申告した場合です。そのうえで、e-Taxで送信するか、優良な電子帳簿の保存をしていることが条件になります。
青色申告特別控除は、令和8年度の税制改正の大綱で、令和9年分以後に見直す方針が示されています。申告の前に、その年の国税庁の案内で確かめてください。
個人事業主は、確定申告のほかにも、税金を納める時期があります。独立して2年目以降に慌てないよう、仕組みを知っておきましょう。
所得税には、その年の税金の一部を前もって納める「予定納税」の仕組みがあります。国税庁の案内では、前年分の申告納税額をもとにした予定納税基準額が一定の額以上になると、7月と11月に、基準額の3分の1ずつを納めます。
予定納税が求められるかどうかは、前年分の申告納税額で決まります。開業した年かどうかは関係しません。会社員だったときに確定申告で納税していた人は、開業した年でも対象になることがあります。
その年の所得が前年より明らかに少なくなりそうなときなどは、予定納税額の減額を申請できる場合があります。
課税事業者になると、前の年の消費税の額によっては、年の途中で中間申告をして納めることになります。
消費税法の第42条では、個人事業者が事業を開始した日の属する課税期間を、中間申告の対象から除いています。また、納税義務が免除される免税事業者も、中間申告の対象ではありません。
インボイスの登録で課税事業者になった人には、消費税の負担を軽くする特例があります。
2割特例:令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日を含む課税期間が対象で、個人事業者は令和8年分の申告まで使える
3割特例:令和8年度の税制改正で、個人事業者の令和9年分と令和10年分の申告に使える特例として設けられた
2割特例は、事前の届出がなくても、確定申告書に書き添えれば使えます。3割特例の条件は、国税庁の特設ページで確かめてください。
簡易課税を選ぶ方法もあります。簡易課税では、建設業は第3種の事業に当たり、みなし仕入率は70%です。
ここまでの手続きと納税の時期を、1年の流れにまとめておきます。
1月〜3月:前の年の帳簿を締めて、決算書と確定申告書をつくる。確定申告は原則として2月16日から3月15日まで。青色申告を始めたい年は、3月15日までに承認申請書を出す。インボイスの登録で課税事業者になった人は、消費税の申告と納税も必要になる
7月:予定納税の対象になっている人は、第1期分を7月1日から31日までに納める
11月:予定納税の第2期分を、11月1日から30日までに納める
12月:1年の売上と経費を見直し、領収書や請求書の控えがそろっているかを確かめる
このほかに、国民年金の保険料、国民健康保険の保険料、住民税なども納めます。納める時期を手帳やカレンダーに書き込んでおくと、うっかり忘れることを防げます。
個人事業主の職人は、工事を仕上げたら、自分で請求書を出します。請求と入金の管理も、大切な仕事の1つです。
請求書には、少なくとも次のことを書いておきましょう。
請求書を出した日と、請求先の名前
工事をした日と、工事の場所・内容
請求する金額と、消費税の扱い
振込先の口座と、支払いの期日
自分の名前と連絡先
インボイスの登録を受けている場合は、登録番号など、インボイスとして必要なことも書き添えます。書き方は、国税庁のインボイスの案内で確かめてください。
お客様や取引先から直接工事を受けるときは、工事の前に見積書を出しておきましょう。工事の内容と金額を先に示しておくと、あとで食い違いが起きにくくなります。
壁紙の貼り替えなら、古い壁紙の剥がしと処分、下地の処理、材料、施工、養生と片付けなど、何に手間がかかるのかを分けて書くと伝わりやすくなります。
個人事業主として働き始めると、仕事を仕上げてから入金されるまでのあいだも、材料や道具、ガソリン代などの支払いが続きます。
日本政策金融公庫の『創業の手引』では、運転資金を「商品仕入、経費支払資金など」としています。仕入れや経費の支払いにあてる、日々の事業を回すためのお金のことです。
日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」では、公庫から融資を受けた開業1年以内の企業に、開業のときの資金の調達を聞いています。
調達した資金のうち、金融機関などからの借り入れが67.9%、自己資金が22.9%でした。
ただし、この調査は建設業だけでなく、すべての業種をまとめた数字です。運転資金だけを取り出した集計もありません。
中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、取引先が倒産し、売掛金などが回収できなくなったときに、共済金の貸付を受けられる制度です。
個人事業主の場合、納めた掛金は必要経費にできます。加入の条件や貸付の上限は、中小企業基盤整備機構の案内で確かめてください。
最後に、一人親方として仕事を受けるときに気をつけたいことをまとめます。
建設工事を請け負うには、原則として建設業の許可が要ります。ただ、壁紙や床の工事は、1件の請負代金が500万円に満たなければ、許可がなくても請け負えます。
お客様が材料を用意する工事では、その材料の市場価格も請負代金に加えて判断します。
工事が大きくなってきたら、許可が要るかを確かめましょう。
一人親方は、人を雇わずに働く職人です。職人を雇うようになると、事業主として、雇った人の労働保険や社会保険のことも考える必要が出てきます。
人を雇うかどうかは、工事の量と、手元に残るお金の見通しを立ててから決めましょう。
1社からの仕事だけで働いていると、依頼が途切れたときに収入も止まります。仕事の出どころを複数持っておくと、安心して続けられます。
一人親方の仕事が途切れる理由と、独立前に決めておく仕事の出どころは、一人親方の仕事がないのはなぜ?で詳しく紹介しています。
会社を辞めて個人事業主になるなら、会社員のうちに済ませておくと楽になることがあります。
お金の見通しを立てる:独立した直後の数か月は、入金が少ないことも考えて、暮らしと事業のお金の見通しを立てておく
道具と作業車の段取りをつける:何をいつそろえるかを書き出し、そろえる順番を決めておく
最初の取引先の見込みをつける:独立した日から仕事を受けられるよう、取引先の見込みを考えておく
手続きの書類を確かめる:開業届、青色申告の申請、年金と健康保険の切り替えに要る書類を、事前に確かめておく
退職の日が決まったら、年金と健康保険の手続きの期限から逆算して、予定を立てておきましょう。任意継続は退職日の翌日から20日以内、国民年金は14日以内と、期限が短いものもあります。
個人だけでなく、新しく内装の仕事を始めたい企業が、社員に技術を身につけさせるために使うこともできます。
個人事業主として独立を目指す人に向けては、独立開業サポートを用意しています。研修に加えて、開業の経験がある講師に、研修中でも開業の相談ができます。
修了後は、条件を満たした人がパートナー契約のもとで実際の現場案件を担当します。パートナー契約の必須条件には「個人事業主の開業届(法人登記)」と「運転免許証」が挙げられています。
パートナー契約は、営業なし・ロイヤリティ0円です。請求書は月に1回、Kitanoに送る形で、事務作業の手間を減らせるようになっています。
パートナー契約の現場では、材料はKitanoがそろえます。現場作業中に分からないことがあれば、気軽に聞ける体制になっています。
仕事の受け方や、ほかの取引先との仕事のしかたなど、契約の条件は、申し込みの前の説明で確かめておくと安心です。
エキスパートコースを卒業したフリーランスさんは、卒業後も現場で経験を重ねています。2LDKのリフォームの現場では、床のフロアタイルからソフト巾木の取り付けまでを一人で施工しました。
既存の壁紙が剥がれにくく、念入りなパテの作業が要る現場でしたが、予定より1日早く仕上げています。
元電気工さんは、修了後にKitanoとパートナー契約を結びました。いまは一人で現場を仕上げたり、講師と同じ現場に入って学んだりしながら、スクールの講師「カズ講師」としても活躍しています。
受講生の一日ごとの様子は、フリーランスさんの受講風景や元電気工さんの受講風景で読めます。
コースは次のとおりです。
パーフェクトコース
一人で施工を完結できる基本の習得。床(フロアタイル・クッションフロア)の施工体験を含む
エキスパートコース
柄合わせやソフト巾木まで、現場で通用する応用力
独立開業サポート
研修に加え、開業の支援と、修了後に実際の現場案件を担当するパートナー契約
各コースの詳細は、こちらをご覧ください。
会社を立てずに個人で事業をしていれば、職業を問わず個人事業主です。職人のほか、店の経営者、デザイナー、ライターなど、さまざまな仕事の人がいます。
建設の分野では、大工、内装、塗装、左官、とび、電気、設備などがあります。内装の中にも、クロス(壁紙)、床、天井など、さらに細かな仕事があります。
工務店や建設会社に雇われて働く大工さんもいれば、個人事業主として工事を受ける大工さんもいます。雇われているか、自分の名前で工事を受けているかで決まります。
一人親方から仕事を手伝う形で受けることはあります。ただ、一人親方が職人を雇うと、人を雇わない一人親方という形からは外れます。
手伝う側も、雇われて働くのか、自分も個人事業主として工事を受けるのかで、保険や税金の扱いが変わります。働き始める前に、どちらの形かを確かめておきましょう。
税金の手続きの上では、個人事業主として開業届を出します。一人親方は、人を雇わずに建設の仕事を受ける働き方を表す呼び方で、労災保険の特別加入などで使われます。
会社の決まりによります。副業を認めていない会社もあるので、まず就業規則を確かめましょう。
個人で仕事を受けて所得が出た場合は、確定申告が必要になることがあります。申告が要るかどうかは、国税庁の案内で確かめてください。
決まった答えはありません。受ける工事の量、取引先の数、腕と段取り、かかる経費によって、大きく変わります。
会社員のときと比べるときは、売上だけでなく、自分で払うことになる保険料や税金、道具や車の費用も含めて考えましょう。
所得税法の第229条では、事業を始めた年分の確定申告期限までに、税務署長に出すことになっています。取引先に写しを求められることもあるので、早めに出しておくと安心です。
青色申告には、特別控除や赤字の繰り越しなどの利点があります。その代わり、事前の承認申請と、帳簿をきちんとつけることが必要です。
期限を過ぎてから申告すると、本来の税金に加えて、加算税や延滞税がかかることがあります。青色申告の特別控除も、期限内の申告が条件の1つになっています。
申告が遅れそうなときや、書き方が分からないときは、早めに税務署に相談しましょう。
一人親方は、原則として労災保険の対象外です。ただし、任意で加入できる「特別加入」の制度があります。
クロスの職人のように建設の仕事をする人は、建設の事業として、特別加入団体を通して加入します。
ここまでの内容を、3つにまとめ直します。
働き方の違いを知る:個人事業主・一人親方・会社員の職人の違いと、名ばかりの一人親方にならないための考え方
届出と保険をそろえる:開業届、青色申告の申請、年金と健康保険の切り替え、労災保険の特別加入
お金の流れをつかむ:経費、確定申告、予定納税と消費税の時期
手続きとお金の流れが分かれば、あとは腕を磨いて、一つひとつの現場を丁寧に仕上げていくことに集中できます。
個人事業主の職人として働きたいなら、まずは無料でできることから始めてみてください。
Kitano壁紙スクールでは、無料で試せる2つの入り口を用意しています。
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