外注している職人さんの予定が埋まっていて、お客様の工事を2週間、3週間と待たせてしまう。
工務店やリフォーム会社、不動産の管理会社では、こうした場面が珍しくなくなりました。
職人不足の解消策は、大きく3つに分けられます。人を増やす、人の時間を空ける、人を育てるの3つです。
このうち、外の職人を取り合わずに自社だけで進められるのは「人を育てる」手です。国や業界が進めている対策の中で、この手をどう組み合わせ、社員をどう育てていくかが、職人不足を和らげる鍵になります。
【目次】
職人が足りないと、現場では次のようなことが起きます。
外注先に頼んでも「来月なら」と言われ、工期が延びる
急ぎの原状回復や小さな貼り替えを断る
同じ職人さんに頼む会社が増え、取り合いになる
職人さんの都合に合わせて、現場の段取りを組み直す
お客様への説明や謝罪に、営業の時間が取られる
どれも、外の職人さんの空きを待つ形になっているために起きることです。
原因は、職人さんの数そのものが減っていることにあります。頼む側の会社がどれだけ努力しても、空きの数には限りがあります。
職人不足の原因は?:職人の高齢化と、若い人の入職の少なさ。技能者は平成9年の455万人から令和6年には300万人まで減った
解消策は?:人を増やす(処遇の改善、採用、外国人材)、人の時間を空ける(工期と休日の見直し、ICT)、人を育てる(社員の育成、多能工化)
中小の会社がまず打てる手は?:自社の社員に、よく出る工事の技能を身につけてもらうこと。クロスの貼り替えのように頻度の高い工事から始めると効果が出やすい
外注はやめるべき?:やめる必要はない。外注先は繁忙期や大きな現場の助けとして残し、日常の小さな工事を自社で受ける形にする
ICTの導入や採用の工夫も、どれも大切な手です。ただ、外の職人さんの数が増えない以上、自社の中に技能を持つ人を増やす手を、ほかの手と組み合わせることが欠かせません。
国土交通省が令和8年1月に公表した資料「改正建設業法『令和7年12月施行分』説明会」から、職人不足に関わる数字を抜き出しました。
平成9年:455万人(技能者のピーク)
平成22年:331万人
令和6年:300万人
建設業の就業者全体も、平成9年の685万人から、令和6年には477万人まで減っています。
現場で手を動かす技能者は、およそ30年で3分の2ほどになりました。
55歳以上の割合:36.7%
29歳以下の割合:11.7%
60歳以上の技能者:全体の25.8%
同じ資料では、60歳以上の技能者について「10年後にはその大半が引退することが見込まれる」としています。
今、現場を支えている職人さんのおよそ4人に1人が60歳以上です。そのあとを継ぐ29歳以下は、1割ほどにとどまっています。
厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」では、建設・採掘の仕事(職業の分類「建設・採掘従事者」)の有効求人倍率が5.10倍でした。
求職者1人に対して、5件を超える求人があることになります。
休日の取り方も、ほかの産業とまだ差があります。国土交通省の同じ資料によると、技能者の休日は「4週6休程度」が39.0%で最も多く、4週8休(週休2日)を取れていない人が多い状況です。
職人は、引退する人に対して、入ってくる人が少ない状態が続いてきました。
加えて、2024年4月からは建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。
会社に雇われている人の残業は、原則として月45時間・年360時間までです。特別な事情がある場合にも、超えてはならない上限が決められています。
働き方が整うのはよいことですが、1人の職人さんが1か月にこなせる仕事の量にも、上限が生まれたことになります。人の数が増えないまま、1人あたりの時間も延ばせないので、空きはますます見つかりにくくなります。
なお、一人親方として請け負っている職人さんは、雇われている人ではないので、この上限規制の対象にはなりません。外注先の働き方は、相手の立場によって違うことも知っておいてください。
国や業界が進めている対策と、各社が取り組める手を、6つに整理しました。
手1:処遇を上げる
中身:賃金の引き上げ、社会保険への加入、建設キャリアアップシステム(CCUS)で技能と経験を評価する
効く範囲:今いる職人さんが辞めにくくなり、業界に入る人も増えやすくなる
中小の会社が気をつけること:自社の職人さんだけでなく、外注先に払う手間賃も見直しが必要になる
令和7年12月12日には、改正建設業法に基づく「労務費に関する基準」が施行されました。職人さんの賃金のもとになる労務費を、適正に見込んで契約することが求められています。
建設キャリアアップシステムは、技能者一人ひとりの資格や、どの現場で働いたかという就業の履歴を登録し、技能と経験に応じて評価する仕組みです。令和7年7月28日からは、住宅の建築に関わる技能者の区分も加わりました。
手2:工期と休日を見直す
中身:無理のない工期で契約し、週休2日に近づける
効く範囲:休みが取れる職場になり、若い人が入りやすくなる
中小の会社が気をつけること:工期が延びる分を、お客様に説明して理解してもらう必要がある
建設業法では、通常必要と認められる期間より著しく短い工期で請負契約を結ぶことを禁じています(第19条の5)。
国の「工期に関する基準」も、休日や天候などを見込んだ工期を組むことを求めています。
手3:ICTやDXで段取りの時間を減らす
中身:工程の管理、職人さんへの連絡、写真の共有、見積もりなどをデジタル化する
効く範囲:段取りや移動、連絡にかかる時間が減り、同じ人数で回せる現場が増える
中小の会社が気をつけること:減らせるのは段取りの時間で、壁紙を貼る手そのものは増えない
たとえば、次のような時間を減らせます。
職人さんへの日程の連絡と、その返事を待つ時間
現場の写真を撮って、事務所で見積もりや報告書にまとめる時間
工程表を紙で作り直し、関係する人に配る時間
ICTやDXは、職人さんが本来の作業に使える時間を増やしてくれます。人が足りないときこそ、取り入れる価値がある手です。
手4:採用の間口を広げる
中身:未経験者、女性、ほかの業界からの転職者、シニアなど、これまで声をかけてこなかった人にも門を開く
効く範囲:応募の数そのものが増える
中小の会社が気をつけること:未経験で採用した人を、誰が、どう育てるかを先に決めておく
仕事の中身を見せて、実際に体験してもらう機会をつくると、これまで建設の仕事を考えてこなかった人にも届きやすくなります。
手5:外国人材を受け入れる
中身:特定技能の制度などで、外国人の技能者を受け入れる
効く範囲:人の数を増やせる
中小の会社が気をつけること:受け入れの体制、日本語での指導、住まいの用意などの準備が要る
技能実習に代わる制度として、「育成就労」が令和9年4月1日から始まります。建設分野も、令和8年1月23日の閣議決定で対象の分野に加えられました。
手6:社員を職人に育てる(多能工化)
中身:今いる社員に、よく出る工事の技能を身につけてもらう。1人が複数の工事をこなせるようにする
効く範囲:外注先の空きを待たずに受けられる工事が増える
中小の会社が気をつけること:育てる期間と、育ったあとに任せる仕事の量を、先に見積もっておく
国土交通省も、平成29年に「マルチクラフター(多能工)育成・活用事例」をとりまとめ、1人が複数の工種をこなす多能工の育成を後押ししてきました。
6つの手は、組み合わせて使うものです。
ただ、手1と手2は業界全体で少しずつ進むもので、1社だけで外の職人さんを増やすことはできません。手4と手5は、採った人を育てる仕組みがあって初めて力になります。
だからこそ、中小の会社が自分の判断ですぐに動かせ、現場で手を動かす人を増やせるのが、手6の「育てる」手です。手3のICTと組み合わせると、育てた人の時間を作業に集中させられます。
外注に頼る限り、職人さんの空きは、同じ地域の同業との取り合いになります。
自社の社員が技能を持てば、その分の工事は、外の空きを待たずに受けられます。
工務店やリフォーム会社、不動産の管理会社では、壁紙(クロス)の貼り替えがよく出る工事の1つです。
退去後の原状回復、トイレや洗面所の一部屋だけの貼り替え、水まわりの工事に合わせた貼り替えなど、規模は小さくても件数が多い工事です。
小さな工事ほど、外注先に頼みにくく、後回しにされやすくなります。ここを自社で受けられると、お客様を待たせる場面が目に見えて減ります。
外注先の職人さんが引退すると、その技能は会社の外で消えます。
自社の社員が身につけた技能は、会社の中に残ります。育った社員が、次の社員に教える側に回ることもできます。
内装の工事の中でも、自社で受け始めやすい工事と、そうでない工事があります。始めやすいのは、件数が多く、1部屋ずつ区切って任せられる工事です。
クロスの貼り替え
出る場面:退去後の原状回復、一部屋だけの模様替え、水まわりの工事の仕上げ
始めやすい理由:トイレや洗面所など小さな部屋から任せられ、件数も多い
気をつけること:天井や柄合わせなど、難しさの段階がある
床(クッションフロア・フロアタイル)の貼り替え
出る場面:トイレや洗面所、キッチンの床の貼り替え
始めやすい理由:クロスの貼り替えと同じ現場で出ることが多い
気をつけること:便器のまわりなど、曲線の切り込みに慣れが要る
ソフト巾木の交換
出る場面:クロスの貼り替えに合わせた交換
始めやすい理由:クロスと一緒に受けられる
気をつけること:単独で頼まれることは少ない
まずクロスの貼り替えから始め、慣れてきたら同じ現場で出る床やソフト巾木へ広げていくと、1回の訪問で受けられる工事が増えていきます。
社員を職人に育てるかどうかは、次の5つの質問で考えると整理しやすくなります。
質問1:外注先の空きを待つことが、月に何回あるか
質問2:その中で、いちばん件数が多い工事は何か
質問3:その工事を、社内の誰なら覚えられそうか
質問4:その社員が学ぶ間、今の仕事を誰が代わりに回せるか
質問5:育ったあと、その社員に任せる工事が毎月どのくらいあるか
質問1と質問2の答えがはっきりしていて、質問5で毎月の仕事の量が見込めるなら、育てる手を検討する価値があります。
質問4の答えが出ないときは、繁忙期を避けて学ぶ時期を決めると、現場への影響を小さくできます。
最初から何でも自社でやろうとすると、育てる側も育つ側も苦しくなります。
まずは、件数が多く、外注先の空きを待つことが多い工事を1つ選びます。内装の仕事なら、クロスの貼り替えが選ばれやすい工事です。
職人として育てる社員は、今いる社員の中から選ぶこともできます。
現場管理を担当している社員
原状回復のクリーニングを担当している社員
隣の工種の技能を持っている社員(大工、設備、塗装など)
誰を育てるかを決めるときは、次の点を見ておくと判断しやすくなります。
本人の気持ち:手を動かす仕事を、自分からやってみたいと思えるか
細かい作業への向き合い方:仕上がりの小さな差に気づき、やり直しをいとわないか
体の使い方:脚立の上での作業や、立ったままの作業を続けられるか
迷うときは、本人に実際の道具や材料に触れてもらう機会をつくると、向き不向きが本人にも会社にも見えてきます。Kitano壁紙スクールのコラムでも、初日から壁紙や道具に触れる体験を大切にする考え方を紹介しています。
現場の流れを知っている社員は、工事の前後のつながりが分かっています。
Kitano壁紙スクールの受講風景でも、現場管理の経験がある社員の方について、講師が「全体の流れを掴むのは早かった」と振り返っています。本人がやってみたいと思えるかどうかも、大切な条件です。
社員が技能を学ぶ場には、付き合いのある職人さんの現場に同行する方法、職業訓練校、民間のスクールなどがあります。
どの場を選ぶかは、教えてくれる職人さんが身近にいるか、いつまでに現場に出したいかで決まります。期間と中身が決まっている場で学ぶと、育てる計画が立てやすくなります。
学び終えた社員を、いきなり大きな現場に一人で出すのは避けます。
トイレや洗面所など小さな部屋から始め、かかった時間を記録しながら、任せる範囲を少しずつ広げていきます。
任せる範囲を広げるかどうかは、次の3つで判断します。
仕上がり:継ぎ目や角の処理を、担当者と一緒に確かめて問題がないか
時間:同じ広さの部屋を、前より短い時間で仕上げられているか
お客様の声:引き渡しのときに、気になる点を言われていないか
自社で受ける工事が増えても、外注先との付き合いは続けます。
日常の小さな工事は自社で、繁忙期や大きな現場は外注先にと、役割を分け直すと、どちらにも無理がかかりません。
職人さんを育てても辞めてしまうのではないか、という心配については、Kitano壁紙スクールのコラムで、定着のための育て方を取り上げています。
社員を職人に育てるときは、次のものを先に用意しておくと、学び終えたあとにすぐ現場に出られます。
学ぶ時間:その社員の今の仕事を、学ぶ間だけ誰かが引き受ける
道具:学び終えたあと、自社の現場で使う道具一式
最初の現場:学び終えてすぐに任せられる、小さな工事
相談できる相手:困ったときに聞ける先輩の職人さんや、学んだ先の講師
学び終えてすぐの現場が、特に大切です。覚えた技能は、間を空けずに使うほど身につきます。
技能を身につけた社員が、その技能を会社で生かし続けられるように、評価の仕組みも用意しておきます。
任せる工事が増えたら、処遇に反映する:受けられる工事の種類が増えるほど、会社への貢献も大きくなる
目標になる資格を示す:内装の壁紙なら、国家検定の技能検定「表装(壁装作業)」がある
建設キャリアアップシステムに登録する:現場で働いた履歴が積み上がり、技能と経験が外からも見えるようになる
技能を身につけても評価が変わらなければ、本人の意欲は続きにくくなります。育てる計画と評価の仕組みは、セットで考えてください。
自社で育てる手を進める間も、外注先の職人さんとの付き合いは続きます。職人さんの数が限られている中では、頼む側の会社が選ばれる立場になります。
職人さんが受けたいと思う会社には、次のような共通点があります。
早めに頼む:工事が決まったら、すぐに日程を相談する
工期にゆとりを持たせる:無理な日程を前提にしない
段取りを整えておく:家具の移動や前の工程が終わっていて、着いたらすぐに作業できる
手間賃を見直す:「労務費に関する基準」の考え方に沿って、職人さんの賃金のもとになる分を見込む
支払いを早く、確実にする:約束した日に払う
どれも、すぐに職人さんを増やす手ではありません。ただ、同じ地域で職人さんを取り合う中で、後回しにされにくくなります。
Kitano壁紙スクールの受講風景には、会社から送り出された社員の方の受講の様子が公開されています。
リフォーム会社の現場管理を担当する社員の方
自ら施工もこなせる多能工を目指して受講しました。初日から器具の取り外し、クロスの剥がし、パテ打ち、採寸、糊付け機の操作まで、一連の工程を体験しています。
現場全体の流れを知っている強みを生かし、受講中に6帖の天井と壁を一人で貼り上げて、修了試験に合格しました。その後も、下駄箱などの障害物がある玄関を一人で仕上げ、最終日には床の講習まで受けています。
リフォーム会社で原状回復のクリーニングを担当する方
社内でクロスの施工まで内製化することを目指して受講しました。初日は「本当に数日後、自分にもこんなことができるようになるのだろうか」と不安を口にしていましたが、実際の現場で一歩ずつ工程を覚えていきました。
修了テストに合格し、最終日には床(フロアタイル・クッションフロア)の施工にも取り組んでいます。講師は、清掃とクロス・床の施工を兼ね備えた多能工としての活躍に期待を寄せています。
鳶職の会社の社員の方
自社の業務を広げるために、壁紙の施工を学びに来ました。道具の説明と古いクロスの剥がしから始め、アパート、マンション、戸建てと現場を変えながら技術を身につけていきました。
最終日には、6畳一間の壁紙の施工を、段取りから貼り込みまで一人で、決められた時間内に仕上げています。受講生本人は、前日まで大きな不安があったものの、始まってみると手が自然に動いたと振り返っています。
法人から2名同時に受講した方
元エステティシャンの方と元美容師の方が、法人の社員として同時に受講しました。建設の経験がない人でも、会社の新しい担い手として育てられることを示す例です。
お二人は修了後、所属する企業からの要望を受けて、さらに独立開業サポートへ進むことが決まりました。すでに事業の基盤を持つ企業の場合、独立開業のためのカリキュラムは、その会社に必要な別のカリキュラムに入れ替えられます。社員として、より長く現場の経験を積むための進み方です。
パーフェクトコース
一人で施工を完結できる基本の習得。床(フロアタイル・クッションフロア)の施工体験を含む
エキスパートコース
柄合わせやソフト巾木まで、現場で通用する応用力
独立開業サポート
研修に加え、開業の支援と、修了後に実際の現場案件を担当するパートナー契約
各コースの詳細は、こちらをご覧ください。
受講できるのは、東京23区内とその近郊の現場です。それ以外の地域での開催や、宿泊先の手配は行っていません。
日程は、仕事が休みの日に合わせた受講や、1週間ずつの受講、曜日を決めた受講も、申し込み後に相談できます。都合の悪い日の振り替えも、講師と相談しながら調整できます。社員の今の仕事を止めずに育てたい会社には、確かめておきたい点です。
スクールの案内では、企業に向けた特長を挙げています。社内での下積みや指導の手間をかけずに、実際の現場でスクールのフォローを受けながら腕を磨けることです。
ある企業の例では、社長が最初にヒムロ最高講師と、自社の現場の課題と目標を話し合いました。それに合わせた育成の計画を立ててから、スタッフ2名を送り出しています。会社ごとに、すでにあるコースの中身を入れ替えて、その会社に合う育成の計画をつくる提案も行っています。こうした相談の最初の入り口として、今は15分間の無料の個別キャリア診断を用意しています。
建設業の新規事業アイデアは「断っている隣の工事」にある|社員に内装の技術を持たせて始める方法
社員に技能を身につけさせるときには、国の助成金が使える場合があります。
厚生労働省の「人材開発支援助成金」には、建設業の事業主に向けた「建設労働者技能実習コース」があります。
このコースは、雇っている建設労働者に、建設の作業に直接関わる技能実習を受けさせた場合に、その経費と、実習中の賃金の一部を助成するものです。
対象になる実習や、助成の額、会社の規模による違いなどの条件は、細かく決まっています。実習を始める前に届け出が必要な場合もあるので、使うつもりなら、実習を決める前に管轄の労働局に相談してください。
また、Kitano壁紙スクールのよくある質問では、受講費用が賃上げ促進税制の対象になるかという問いに「対象になります」と答えています。詳しくは顧問の税理士さんに相談してください。
社員を職人に育てる手が合うかどうかは、会社の状況によって変わります。
向かない場合1:その工事の件数が少ない
内製化する工事が年に数件しかないと、育てた社員の技能を保つための場数が足りません。この場合は、外注先との付き合いを厚くするほうが合っています。
向かない場合2:育てる社員を現場から外せない
学ぶ期間は、その社員の今の仕事が止まります。誰かが代わりに回せる見通しが立つまでは、時期をずらして考えます。
向かない場合3:学べる場が近くにない
学ぶ場が会社から遠いと、通う負担が大きくなります。近くの職業訓練校や、地域の職人さんの現場で学べるかも確かめてみてください。
向かない場合4:本人が望んでいない
職人の仕事は、体を使い、根気の要る仕事です。会社の都合だけで決めると、身につく前に気持ちが続かなくなります。
これらに当てはまる場合は、まず学ぶ場や時間の条件を整え、そろった時点で「育てる」手を加えると、無理がありません。
大きく、人を増やす、人の時間を空ける、人を育てるの3つに分かれます。
人を増やすには、処遇の改善や採用の工夫、外国人材の受け入れがあります。人の時間を空けるには工期の見直しやICTの導入、人を育てるには社員の育成や多能工化があります。1つの手で解決するものではないので、自社で動かせる手から組み合わせていきます。
業界全体では、処遇の改善、週休2日に近づける工期の見直し、ICTの活用、外国人材の受け入れなどが進められています。
1社で取り組めることとしては、ICTで段取りの時間を減らすことと、自社の社員に技能を身につけてもらうことが挙げられます。よく出る工事から内製化すると、外の職人さんの空きを待つ場面が減ります。
引退する人に対して、入ってくる若い人が少ない状態が続いてきました。
国土交通省の資料では、技能者は平成9年の455万人から令和6年には300万人まで減り、60歳以上の技能者が全体の25.8%を占めています。
主な原因は、職人の高齢化と、若い人の入職の少なさです。
国土交通省の資料では、建設業の就業者のうち55歳以上が36.7%、29歳以下が11.7%でした。引退していく人の数に、入ってくる人の数が追いついていません。週休2日を確保しにくい働き方が残っていることも、同じ資料で課題として示されています。
できます。むしろ、外注先の空きを待つ影響を受けやすいのは、小さな会社です。
最初から大がかりな計画を立てる必要はありません。件数の多い工事を1つ選び、1人の社員から始めると、会社への負担を抑えながら進められます。
国土交通省の資料では、60歳以上の技能者の大半が、10年後には引退することが見込まれるとしています。29歳以下の割合は1割ほどです。
処遇の改善や新しい制度で入る人が増えるかどうかは、これからの取り組み次第です。
なれます。Kitano壁紙スクールの受講風景では、建設の経験がない元エステティシャンと元美容師の方が、法人の社員として受講しています。
スクールのよくある質問では、受講した人のうち現場の経験がなかった人が45%、修了した人の割合が93%と案内しています。途中でやめた7%の理由は、本業が忙しくなった、会社の方針が変わったなど、受講する側の事情だったとしています。
ただし、学び終えたあとも、現場で場数を踏むことが欠かせません。小さな工事から任せる範囲を広げていってください。
1人で複数の種類の工事をこなせる職人のことです。たとえば、クリーニングを担当していた社員がクロスと床の施工も覚えると、原状回復の工事をまとめて受けられるようになります。
【多能工とは?】未経験から年収1000万を目指す「職人のキャリア戦略」完全ガイド
学ぶ時期を繁忙期から外し、その間の工事は今までどおり外注先に頼むのが現実的です。
学び終えた社員には、小さな工事から任せていきます。自社で受けられる工事が増えるにつれて、外注先に頼む分を少しずつ繁忙期や大きな現場に寄せていきます。
どちらか一方を選ぶものではありません。ただ、外国人材を受け入れる場合も、現場で技能を教える人が社内にいるかどうかで、受け入れのしやすさが変わります。
社内に技能を持つ社員がいれば、新しく入った人に教える側にも回れます。まず社員を育て、その社員を教える側にしていく順番も考えられます。
すべてを自社に切り替える必要はなく、外注先との役割分担を見直すのが現実的です。
日常の小さな工事を自社で受け、繁忙期や大きな現場は外注先に頼むなど、役割を分けると、どちらにも無理がかかりません。
職人不足の解消策は、次の3つに分かれます。
人を増やす:処遇を上げる、採用の間口を広げる、外国人材を受け入れる
人の時間を空ける:工期と休日を見直す、ICTやDXで段取りの時間を減らす
人を育てる:社員によく出る工事の技能を身につけてもらう
業界全体の取り組みは少しずつ進んでいきますが、外の職人さんの数がすぐに増えるわけではありません。
だからこそ、中小の会社が自分の判断で動かせる「育てる」手を、ほかの手と組み合わせることが大切です。まずは、件数が多く、待たせることの多い工事を1つ選び、誰を育てるかを決めるところから始めます。
社員を職人に育てる道を考えているなら、まずは無料でできることから始めてみてください。
Kitano壁紙スクールでは、無料で試せる2つの入り口を用意しています。
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ゲームのような感覚で取り組めるテストです。公開していない動画も見られます。
無料「個別キャリア診断」
ヒムロ最高講師に、15分間相談できます。
詳しくは、Kitano壁紙スクールのホームページをご覧ください。