手に職をつけて、自分の腕で働きたい。けれど、職人の世界は何から始めればよいのか分からない。
年齢や体力、未経験であることを理由に、一歩目を迷っている人は少なくありません。
職人になるには、先に3つを決めると道が見えてきます。何の職人を目指すか、どの道で学ぶか、一人前の目安をどこに置くかの3つです。
職人になる道には、会社に入って見習いとして学ぶ道、公的な職業訓練、民間のスクール、親方への弟子入りの4つがあります。学ぶ間の収入や、費用を誰が持つかがそれぞれ違うので、自分の生活と学び方に合う道を選ぶことになります。
【目次】
職人になりたい人が最初に決めることは、次の3つです。
目指す職人:建設、伝統工芸、食など、職人の仕事は分野ごとに入り方も働き方も違う。まず分野と職種を決める
学ぶ道:会社の見習い、公的な職業訓練、民間のスクール、親方への弟子入りから、学ぶ間の生活費と学び方で選ぶ
一人前の目安:技能検定や建設キャリアアップシステムなど、外から見て分かる物差しを目標にする
職人になるのに、年齢や前の仕事の制限はほとんどありません。合わない道を選んで途中で辞めないこと、教わったことを毎日の現場で積み重ねることが大切です。
職人と呼ばれる仕事は、とても幅が広いものです。
建設の現場で働く大工、左官、内装の職人。焼き物や漆器、和紙をつくる伝統工芸の職人。
寿司やパン、菓子をつくる食の職人もいます。
分野が違えば、学ぶ場所も、一人前になるまでの道のりも変わります。伝統工芸は産地の工房に入って学ぶことが多く、食の職人は専門学校や店での修業が入り口になることが多い分野です。
この記事では、建設の職人、とくに内装の壁紙(クロス)の職人を例にして、職人になる道と順番を説明します。建設の職人は、毎年入ってくる人も辞める人もいて、未経験から入る道がいくつも用意されている分野です。
建設の仕事では、職人の高齢化が進んでいます。
国土交通省の資料「最近の建設産業行政について」(令和7年9月)によると、建設業で働く人のうち55歳以上は36.7%、29歳以下は11.7%です。全産業では55歳以上が32.4%、29歳以下が16.9%なので、建設業は若い人の割合が低く、年齢の高い人の割合が高いことが分かります。
同じ資料では、技能者のうち60歳以上が25.8%(77.4万人)を占めています。資料には、10年後にはその大半が引退すると見込まれると書かれています。
国土交通省の「建設労働需給調査」(令和8年8月分、9月25日公表)では、型枠工や鉄筋工などの8職種を合わせた過不足率が1.3%の不足でした。前月は1.2%、前年同月は0.9%の不足です。
この8職種に内装の職人は含まれませんが、建設の現場で人手が足りない状態が続いていることは読み取れます。
働く人の入れ替わりも見ておきましょう。厚生労働省の「雇用動向調査」(令和7年、令和8年8月31日公表)では、建設業の入職率は10.4%、離職率は8.7%でした。
一方で、若い人が早く辞めやすい傾向もあります。厚生労働省の調査では、令和5年3月に高校を卒業して就職した人のうち、3年以内に辞めた人の割合は建設業で40.9%、全産業で36.9%でした。
入ってくる人がいる一方で、最初の数年で辞めてしまう人も多い。職人を目指す人にとっては、最初の数年を続けられる道を選ぶことが、いちばん大事なポイントになります。
建設の職人になる道は、大きく4つに分かれます。それぞれの特徴を、学ぶ間の収入、費用の負担、学べる範囲の順に見ていきます。
工務店や内装の会社に就職し、先輩の職人について現場で覚える道です。
学ぶ間の収入:雇われて働くので、学ぶ間も給料を受け取りながら覚えられます。
費用の負担:学ぶための費用は、基本的に会社が持ちます。国も、人材確保等支援助成金の「若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)」など、職人を育てる会社に向けた助成の制度を用意しています。
学べる範囲:その会社がよく受ける工事を、実際の現場で覚えます。その一方で、教わる順番や速さは、会社や先輩の忙しさに左右されがちです。
「見て覚えろ」と言われて、何年も片付けや運搬が続くこともあります。入る前に、誰が、どの順番で教えてくれるのかを聞いておくと、入ってからのずれが少なくなります。
入る前に聞いておきたいこと
最初の数か月で、どの作業から任せてもらえるか
教えてくれる先輩は決まっているか
未経験で入った人が、いまどのくらい残っているか
国や都道府県が行う職業訓練で、建設の基礎を学ぶ道です。ハローワークが窓口になります。
学ぶ間の収入:雇用保険の失業手当を受け取れる人は、手当を受けながら公共職業訓練を受けられます。雇用保険を受け取れない人は、求職者支援制度の訓練を受けられます。
費用の負担:受講料は原則として無料です。求職者支援制度では、給付金の要件に当てはまらなくても、無料で受講できます(テキスト代などは自分で負担します)。
学べる範囲:教室と実習場で、基礎から順番に学びます。訓練の後は、ハローワークの支援を受けながら就職先を探します。
受けられる訓練の種類や時期は、地域によって違います。給付金の条件も細かく決まっているので、住んでいる地域のハローワークで確かめてください。
申し込む前に確かめたいこと
住んでいる地域で、建設や内装の訓練がいつ始まるか
自分が公共職業訓練と求職者支援制度のどちらに当たるか
訓練で使う現場や実習場が、目指す仕事に近いか
職人の技術を教える民間のスクールで、決まった期間に集中して学ぶ道です。
学ぶ間の収入:会社員として働きながら休日に通う人もいれば、仕事を辞めて集中して学ぶ人もいます。
費用の負担:受講料は原則として自分で負担します。厚生労働大臣の指定を受けた講座であれば、雇用保険の加入期間などの条件を満たすと、教育訓練給付を受けられます。指定を受けていない講座は対象外なので、申し込む前に確かめておきましょう。
学べる範囲:決まった内容を、決まった順番で学びます。実際の現場で学べるか、教室の練習用の壁で学ぶかは、スクールによって大きく違います。
申し込む前に確かめたいこと
実際の現場で学べるか、教室の練習用の壁で学ぶか
一人の講師が何人を見るか
修了したあと、仕事につながる支えがあるか
受講風景や修了した人の様子が公開されているか
職人の親方のもとに入り、そばで仕事を手伝いながら覚える道です。
弟子入りの期間や費用、待遇について、公的な基準はありません。親方によって条件が大きく違うので、何を、いつまでに教えてもらえるのかを、最初に話しておくことが大切です。
親方のもとで認められれば、その仕事のつながりを引き継ぐこともあります。
4つの道は、どれが正しいというものではありません。次の2つで選ぶと、自分に合う道が見えてきます。
学ぶ間の生活費をどうするか
給料を受け取りながら学びたい:会社の見習い
手当を受けながら学びたい:公的な職業訓練(条件あり)
貯えを使って、短く集中して学びたい:民間のスクール
どのように学びたいか
実際の現場で、仕事をしながら覚えたい:会社の見習い、親方への弟子入り、現場で学ぶスクール
基礎から順番に、教わりながら覚えたい:公的な職業訓練、民間のスクール
組み合わせる人もいます。たとえば、スクールで基本を身につけてから会社に入れば、見習いの最初の時期が短くなる場合もあります。
職人になるのに、年齢の上限はありません。
技能検定の受検資格には年齢の条件がなく、実務の経験の年数で決まります。建設キャリアアップシステムの評価も、現場に出た日数と資格、職長の経験で決まります。
Kitano壁紙スクールのよくある質問でも、年齢を尋ねる「〇歳でも受講できますか?」という問いに「年齢制限はございません」と答えています。前の仕事についても、制限はありません。
40代や50代から始める人は、体力の配分と、残りの働く年数を考えて道を選ぶことになります。40代で手に職をつけて独立する道については、40代で独立できる仕事は?で詳しく紹介しています。
職人に向いている人として、よく「手先が器用な人」「体力がある人」が挙げられます。けれど、クロスの受講風景で講師の声かけを読むと、伸びている人には別の共通点があります。
介護士からクロスの職人を目指した受講生の4日目、講師はこう声をかけています。
「丁寧さはそのままに、これからはさらなる精度の追求と、現場で求められるスピード感を」。最初は時間がかかっても、丁寧に仕上げる癖がついている人は、後から速さを足していけます。
同じ受講生は、講師から教わった「剥がし始めのきっかけ作り」と「力の入れ方」を次の日に試し、前の日より広い面積を速く仕上げました。
教わったことを素直に試して、うまくいかなければまた聞く。この繰り返しが、上達のいちばんの近道です。
看護師からハウスクリーニングの経営者になった受講生は、2日目に、ブレーカーのある複雑な壁を「自分でやってみたい」と言って貼り切りました。難しい場所を避けずに試すことで、覚える量が増えていきます。
「背が低いと天井に届かないのでは」と心配する人もいます。Kitano壁紙スクールのよくある質問では、背が小さい女性でも貼れるかという問いに、「貼れます」と答えています。
看護師だった受講生の講習でも、講師は「『女性は身長の面で不利』と思われがちですが、そんなことはありません」と話しています。脚立を上手に使えば、高さは道具で補えます。
職人の仕事は「きつい」「しんどい」と言われることがあります。
きつさの中身は、1つではありません。
天井を見上げて腕を上げ続ける、重い材料を運ぶといった体のきつさ。「見て覚えろ」で何年も下積みが続く教え方のきつさ。
仕事が途切れる、収入が安定しないといった働き方のきつさです。
体のきつさは、慣れと道具である程度は軽くなります。教わり方と働き方のきつさは、どの道を選ぶかで大きく変わります。
クロス職人のきつさについては、クロス職人はきつい?で詳しく紹介しています。
働く時間の決まりも変わりました。建設業にも、令和6年4月1日から時間外労働の上限規制が当てはめられています。
ただし、この規制は会社に雇われて働く人に向けた決まりです。
労働基準法は、労働者を「職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者」(第9条)としています。自分で仕事を請け負う一人親方として働く場合は、働く時間を自分で管理することになります。
道を選ぶ前に、次の5つを確かめておくと、始めてからの迷いが少なくなります。
1.学ぶ間の生活費
給料を受け取りながら学ぶのか、手当を受けるのか、貯えを使うのか。学ぶ間に入ってくるお金と出ていくお金を、先に書き出しておきましょう。
2.家族の理解
仕事を変えると、働く時間や休みの日が変わることがあります。家族と話し合い、始める前に理解を得ておくと、続けやすくなります。
3.目指す働き方
会社員として働き続けたいのか、いずれ一人親方として独立したいのか。目指す働き方によって、選ぶ道も変わります。
4.体の状態
高い場所での作業や、腕を上げ続ける作業があります。持病やけがのある人は、無理のない範囲で始められる仕事か、先に確かめておきましょう。
5.住む地域の仕事
同じ職種でも、地域によって仕事の量は違います。住んでいる地域で、その職人の仕事があるかを確かめておきましょう。
クロスの職人は、住宅や事務所の壁と天井に、壁紙(クロス)を貼る仕事をしています。仕事は、大きく2つに分かれます。
新しく作った壁に貼る仕事
新築や間取りの変更で、大工さんが作った新しい壁に貼る仕事です。元自衛官さんの6日目の講習では、石膏ボードの継ぎ目やビス穴をパテで埋め、壁のカドにコーナーテープを付ける作業から始めています。
古いクロスを張り替える仕事
古いクロスを剥がして、新しいクロスを貼る仕事です。元自衛官さんの12日目の講習では、照明などの器具を外す「器具取り」から、剥がし、パテ打ち、採寸、貼るまでを一続きで行っています。
住宅だけでなく、事務所や店舗の壁に貼ることもあります。看護師さんの10日目からの講習では、事務所の天井と壁の全面を貼り替えています。
クロスのほかに、床のクッションフロアやフロアタイル、壁の下に付けるソフト巾木を手がける職人もいます。できる仕事が増えるほど、受けられる工事の幅も広がります。
ここからは、クロスの職人を例に、未経験から一人で一部屋を仕上げるまでの順番を見ていきます。Kitano壁紙スクールで受講した、介護士さん、元自衛官さん、看護師さんの受講風景をもとにしています。段階の順番は、人や講習の組み方によって前後します。
最初に覚えるのは、古いクロスを剥がす作業と、パテで下地を平らにする作業です。
介護士さんは初日、1LDKの部屋で剥がしに取り組み、「イメージしていたよりも大きくペロンと剥がれてくれない」と話しています。講師は、クロスの種類や下地の古さで剥がれやすさが変わる「現場ごとの違い」を肌で感じることが第一歩だと伝えています。
2日目はパテ打ちです。講師は「パテの平滑さでクロスの仕上がりの8割が決まる」と話しています。
地味な作業ですが、ここをおろそかにすると、どれだけ上手に貼ってもきれいに仕上がりません。
元自衛官さんは8日目、パテが乾いたあとに表面を紙やすりで平らにする「ペーパー掛け」で、全身が粉まみれになりました。そこで、パテ打ちを最初から上手くこなせば、ペーパー掛けの手間が減ることに気づいたと話しています。
次に、部屋の寸法を測り、クロスを必要な長さに切り、機械で糊を付けます。
元自衛官さんは2日目、採寸の基本を教わってから、実際に現場を測りました。事前の動画で学んでいたので糊づくりはできましたが、機械から出てくるクロスをきれいにたたむ動きには苦戦しています。
知識は動画で入れられても、手の動きは実際にやってみないと身につきません。元自衛官さんの講習の初日にも、講師は動画で得られるのは「知識」だと話しています。
貼る作業は、まず壁から始めます。
壁で難しいのは、カド(出隅・入隅)と、照明やスイッチなどの障害物のまわりです。介護士さんは3日目、照明まわりの切り抜きやカドの処理を、練習用のクロスで納得がいくまで繰り返しました。
看護師さんは4日目、スイッチや水栓をよけて切る「当て切り」がうまく決まったときに手応えを感じたと話しています。
壁に慣れたら、天井に進みます。天井はクロスの重さと腕の疲れとの戦いで、多くの人が最初につまずく工程です。
元自衛官さんは3日目、講師に支えてもらいながら初めて天井を貼りました。4日目に講師と一緒に長い天井を貼り、5日目には2mの天井をサポートなしで貼り切っています。
介護士さんは10日目に、小さな天井を一人で最初から最後まで貼りました。長い天井はまだ講師の手を借りながらでしたが、一歩ずつ一人でできる範囲を広げています。
介護士さんは12日目、何度も貼り直して天井のコツをつかみました。天井と格闘したあとは、あれほど苦戦していた壁の貼り込みが、驚くほど楽に感じられるようになったそうです。
最後は、トイレや洗面所のような狭い場所と、一部屋全体を一人で仕上げる段階です。
元自衛官さんは9日目、狭いトイレの天井と壁に苦戦しました。背が高い分、狭い場所での作業は体力を削られたと話しています。
10日目には6帖の部屋の壁を一人で貼り切り、カドの処理にまだ時間がかかるものの、少しずつ慣れてきたと話しています。
介護士さんも11日目に、洋室の壁のほぼすべてを一人で貼りました。「次はこの動き」という段取りが、迷わずできるようになってきたそうです。
一人で一部屋を仕上げられるようになったら、次は難しい場所を「普通に貼れる」ようにしていく段階です。
介護士さんは13日目、講師の手本を改めて見て、初日には気づけなかった細かな工夫や道具の使い方の意味が分かるようになったと話しています。14日目には、ワンルームの天井全面と、レンジフードやブレーカーが並ぶ壁を一人で貼り切りました。
以前は身構えていたコンセントやブレーカーのまわりも、落ち着いて手が動くようになったそうです。講師は、難所を「普通に貼れる」ようになったことが、技術が身体になじんだ証拠だと伝えています。
看護師さんは9日目、天井の高さが3メートル以上ある壁を貼りました。講師は、高い場所は慣れてきた頃がいちばんけがをしやすいと伝え、自身が現場で転落して骨折した経験を話しています。
長く続けるには、「慣れた時こそ気を抜かない」意識が欠かせません。
受講風景を見ると、つまずきやすいところは共通しています。
パテ:正しい状態がつかめず、手探りになりやすい。数をこなして感覚を覚えていく
天井:クロスの重さに慣れるまで、一人で貼るのが難しい
カドと障害物:シワやずれが出やすく、時間がかかる
狭い場所:体の動かし方が限られ、体力を使う
速さ:丁寧に仕上げられても、現場で求められる速さに届かない時期がある
受講風景に出てくるつまずきは、どれも技術の話です。では、実際に建設業を辞めた人や、いま続けている人は何を挙げているのでしょうか。国の調査を2つ見ておきます。
1つ目は、辞めた人の理由です。国土交通省の検討会資料に、厚生労働省「雇用管理現状把握実態調査(平成24年度)」の結果が載っています。建設業を辞めた若い人178人に「仕事を辞めた一番の理由」を1つ選んでもらったもので、多かったのは次の4つでした。
雇用が不安定である:9.6%
遠方の作業場が多い:9.0%
休みが取りづらい:8.4%
労働に対して賃金が低い:7.9%
「作業がきつい」を選んだ人は5.1%でした。どの理由も1割に届かず、答えは散らばっています。
10年以上前の調査なので、今の現場とは違うところもあるでしょう。それでも、上位の4つが、雇用の安定、通う場所、休み、賃金という働き方の条件だったことは読み取れます。
2つ目は、いま続けている人の声です。厚生労働省の委託調査「建設業における雇用管理現状把握実態調査(令和5年度)」では、建設会社で働く技能労働者2,906人が答えています。
建設業でいちばん魅力を感じる点は、「技能を磨き、現場で活かすことができる」が18.3%で最も多く、「社会的意義の大きな仕事ができる」が17.6%、「顧客の喜びを実感できる」が13.9%と続きました。
技能を身につけるときの課題を尋ねると、「特に課題はない」が46.1%でした。その次に多かったのが「仕事が忙しく、身につける時間的な余裕がない」の30.6%です。現場に出てしまうと、腰を据えて練習する時間はなかなか取れません。
これからも働き続けるために会社に求めることは、「週休2日制の推進」が33.7%、「仕事が年間を通じてあること」が27.7%、「仕事の内容に対応した賃金」が20.8%でした。
2つの調査から、腕が上がること自体は続ける力になると分かります。一方で、練習の時間と、仕事の量や休みの安定がないと続けにくくなります。どの道を選ぶにしても、最初に基礎を練習する時間をどこで取るか、学んだあとに仕事が途切れずにあるかは、申し込む前に確かめておきましょう。
「一人前」という言葉は人によって意味が違います。目標を立てるときは、外から見て分かる物差しを使うと、自分がどこまで来たかが分かりやすくなります。
クロスの職人の腕を国が確かめる仕組みが、技能検定です。クロスを貼る作業は「表装」という職種の「壁装作業」に入ります。
受検するには、実務の経験が必要です。
経験の年数だけで受ける場合、2級は2年以上、1級は7年以上の実務の経験が求められます。合格すると「技能士」と名乗れます。
建設キャリアアップシステムは、職人が現場に出た日数や持っている資格を記録する仕組みです。記録をもとに、職人の腕をレベル1からレベル4の4段階で評価します。
内装仕上げの評価の基準では、レベル2に上がるには、現場に出た日数が645日(215日を1年として3年)必要です。あわせて、決められた資格のどれか1つが求められます。レベル3、レベル4に進むには、さらに長い経験と職長・班長としての経験が求められます。
どちらも、現場で経験を積んだ年数が土台になります。最初の数年を続けることが、一人前への近道です。
職人の働き方は、大きく2つに分かれます。会社に雇われて働く会社員の職人と、自分で仕事を請け負う一人親方です。
最初から一人親方になる人は多くありません。会社員として、または親方のもとで腕を磨いてから、独立して一人親方になる流れが一般的です。
会社員の職人
会社から給料を受け取って働く
仕事は会社が取ってくるので、自分で営業しなくてよい
社会保険や労災保険は、会社を通して加入する
働く時間は、労働基準法の決まりで守られる
一人親方
工事を請け負い、仕事ごとに代金を受け取る
仕事を取ってくるのも、道具や車をそろえるのも自分
健康保険や年金は自分で加入する。労災保険には、特別加入の制度を使えば入れる
働く時間や休みは、自分で決めて管理する
どちらがよいかは、何を大事にしたいかで変わります。安定して腕を磨きたいなら会社員、自分の裁量で仕事を受けたいなら一人親方が向いています。
一人で部屋を仕上げられるようになったあとも、職人の道は続きます。進み方は、人によっていくつかに分かれます。
職長として現場をまとめる
経験を積むと、現場の職人をまとめる職長や班長を任されるようになります。建設キャリアアップシステムのレベル3やレベル4には、職長・班長としての経験が求められます。
一人親方として独立する
腕と取引先が育ったら、一人親方として独立する道があります。仕事を取ってくる力と、段取りや見積もりの力が必要になります。
独立するまでの年数は、人によって大きく違います。決め手になるのは年数よりも、一人で部屋を任せてもらえるか、見積もりや段取りまでこなせるかといった「できること」です。
独立のタイミングについては、クロス屋の独立は何年かかる?で詳しく紹介しています。
できる工事を増やす
クロスに加えて、床やソフト巾木など、ほかの内装の工事もできるようにする道です。一つの現場で任される範囲が広がります。
いまの仕事に技術を足す
建設の職人になるだけが道ではありません。看護師からハウスクリーニングの経営者になった受講生は、お客様から内装の相談を受けることが増えていました。自社のサービスの価値を高めるために、クロスの技術を学びに来ています。
いまの仕事のお客様に、新しくできることを足して提案する。そうした形で、職人の技術を活かす人もいます。
「職人で一番儲かる職業は?」という問いには、一つの答えはありません。
職人の収入は、職種だけでなく、雇われて働くか一人親方として請け負うか、地域、腕前、仕事の取り方で大きく変わります。同じ職種でも、人によって収入の幅は大きく開きます。
収入を考えるときは、職種の平均よりも、自分がどの働き方で、どれだけの仕事を任されるようになるかを考えるほうが現実的です。会社員として腕を磨く道もあれば、腕と取引先を育ててから独立する道もあります。
講習は、東京23区内とその近郊の実際の請負現場で行います。請負の現場のため見学はお断りしており、受講風景は日ごとにホームページで公開しています。
受講する人の経歴はさまざまです。
よくある質問によると、受講者のうち現場の経験があった人は55%、なかった人は45%です。
開設当初は職人の受講が多かったものの、最近はほかの業種から転職を目指す人が増えています。受講風景には、介護士、看護師、元自衛官、タクシードライバー、料理人など、さまざまな経歴の人が登場します。
修了した人の割合は93%です。よくある質問では、途中で辞めた人の理由は「本業が忙しくなった」「病気になってしまった」など本人の事情によるものだと答えています。クロスが貼れないという理由でスクールが断った例は、一度もないそうです。
独立を目指す人に向けては、独立開業サポートを用意しています。研修に加えて開業の支援があり、修了後はパートナー契約のもとで実際の現場案件を担当します。
パートナー契約は営業なし・ロイヤリティ0円で、条件は申し込みの前の説明で確かめておくと安心です。
教え方にも特徴があります。
少人数のマンツーマン:一人ひとりの個性や長所に合わせて教え、作業も一人で行う。ほかの受講生の進み具合に左右されない
事前の動画で知識を入れる:座学の時間を設けず、無料の事前動画で知識を学んでから現場に入る
道具は一式用意:腰袋を含め、施工に必要な道具と資材はすべてスクールが用意する。教材費などの追加費用はかからない
日程の相談ができる:仕事の休みに合わせて、1週間ずつや曜日を決めて受講している人もいる
よくある質問は、Kitano壁紙スクールのよくある質問にまとまっています。受講生の一日ごとの様子は、介護士さんからクロス職人に転身、元自衛官さん、看護師さんからリフォーム業に転身で読めます。
コースは次のとおりです。
パーフェクトコース
一人で施工を完結できる基本の習得。床(フロアタイル・クッションフロア)の施工体験を含む
エキスパートコース
柄合わせやソフト巾木まで、現場で通用する応用力
独立開業サポート
研修に加え、開業の支援と、修了後に実際の現場案件を担当するパートナー契約
各コースの詳細は、こちらをご覧ください。
一つの答えはありません。職人の収入は、職種のほかに、雇われて働くか一人親方として請け負うか、地域、腕前、仕事の取り方で大きく変わります。
どの職種を選ぶかより、どの働き方で、どれだけの仕事を任されるようになるかを考えるほうが現実的です。
クロスの講習の様子から、読み取れることがあります。手先の器用さや体力より、丁寧に仕上げる癖がついている人、教わったことをすぐに試せる人、難しい場所に自分から挑む人が伸びやすい、ということです。体格は、脚立などの道具の使い方で補えます。
体のきつさ、教わり方のきつさ、働き方のきつさの3つに分けて考えると、中身が見えてきます。体のきつさは慣れと道具で軽くなり、教わり方と働き方のきつさは、どの道を選ぶかで大きく変わります。
なれます。職人になるのに年齢の上限はなく、技能検定の受検資格も実務の経験の年数で決まります。
40代から始める場合は、体力の配分と、残りの働く年数を考えて学ぶ道を選びましょう。
なれます。会社の見習い、公的な職業訓練、民間のスクールは、どれも未経験の人を受け入れています。
Kitano壁紙スクールでも、受講者の45%は現場の経験がない人です。
目指せます。会社員として働きながら、休日に民間のスクールに通う人もいます。
Kitano壁紙スクールでも、仕事の休みに合わせて、1週間ずつや曜日を決めて受講している人がいます。
クロスの職人は、天井を見上げて腕を上げる作業や、材料を運ぶ作業があります。ただ、体の使い方や道具の選び方で、負担はある程度軽くなります。
始める前に、無理のない範囲で始められるかを、学ぶ先に相談しておくと安心です。
まずは、目指す分野と職種を決めることです。そのうえで、学ぶ間の生活費と学び方から、会社の見習い、公的な職業訓練、民間のスクール、親方への弟子入りのどれで学ぶかを選びます。
クロスの職人として働き始めるのに、必ず持っていなければならない資格はありません。経験を積んでから、技能検定「表装(壁装作業)」に挑戦すると、腕を外に示せるようになります。
なれます。Kitano壁紙スクールのよくある質問では、背が小さい女性でも貼れるかという問いに「貼れます」と答えています。
高さは、脚立などの道具で補えます。
公共職業訓練と求職者支援制度の訓練は、受講料が原則として無料です(テキスト代などは自分で負担します)。受けられる訓練や給付金の条件は人によって違うので、住んでいる地域のハローワークで確かめてください。
人によって、また何を一人前とするかで違います。
目安として、技能検定の2級は2年以上、1級は7年以上の実務の経験が受検の条件です。建設キャリアアップシステムでは、内装仕上のレベル2に、現場に出た日数645日(3年)が必要です。
最初に決める3つを、もう一度並べます。
目指す職人:分野と職種で、入り方も働き方も変わる
学ぶ道:4つの道を、学ぶ間の生活費と、どこでどう教わるかで比べる
一人前の目安:技能検定や建設キャリアアップシステムを目標にして、できることを順番に増やす
建設の職人は、高齢化が進み、若い人の力が求められている仕事です。年齢や前の仕事を理由にあきらめる必要はありません。
クロスの職人に少しでも興味があるなら、まずは無料でできることから始めてみてください。
Kitano壁紙スクールでは、無料で試せる2つの入り口を用意しています。
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